生徒と一緒に作成した教科書ーアメリカの教科書選定
- 2016/03/06
- 15:37
アメリカの教科書の選定の仕方は日本とは全然違う。
日本の英語教育と日本人の英語力が長年問題になっているが、
その一つの原因は日本の教科書選定のシステムにあると私は思う。
日本の教科書選定システムについて、平居高志氏は
”教科書政策の何が悪いかというと、大きく分けて二つある。一つは閉ざされた検定であり、もう一つは採択のシステムである。”
とあり、日本では
”検定が終了するまでは、教科書を現場の教員に見せることも許さない。”と述べている。
教科書を出版する夢
アメリカと日本の教科書検定システムの決定的な違いは、
誰でも教科書を出版する事が出来る。
という事だ。
アメリカの小中高の先生方 又大学の教授の中には
「いつかは自分で教科書を出版したい。」
と夢を持っている先生方は少なくない。
実際に数々の教科書が教授 先生方によって出版されている。
長年教えながら教材を準備しているので、手作りのプリント 教材は山積みになっている。
そのまとめとして自分で一番使いやすい教科書を出版したい。という気持ちが出るのは当然だ。
その上アメリカの教科書は一冊6千円から2万円時には3万円する。
自分の教科書が売れれば、収入にもなるのだ。
数年前に知り合いの大学の英語の教授に英語のライティングの教科書が必要だと言ったら、
教科書が100冊以上ある教授の部屋によばれ数冊わけてくれた。
教授は自分で買わなくても教科書のサンプルが送られてくるのだ。
教授がその教科書を教材に選ぶと100人、1000人以上の大学生が買うので出版社は大もうけをするわけである。
教科書はA4サイズで3-5センチの厚みがある物が多い。
持つのも重くて大変だ。
大学生の教科書代は一年に5万円10万円以上する事もある。
http://creationtruth.com/truth-in-science.html
アメリカの高校の教科書選定の手順
私の高校の教科書選定は次の手順で決められた。
日本と違って、教科書は2,3年から6,7年同じ教科書が使われ、生徒は学校で一年間借りる形になる。
高校の教科書は一教科500ページ以上の物がほとんどだ。
ハードカバーでカラー、練習問題、討論トッピクなど盛りだくさんだ。
非常にすぐれた教科書が多い。
電子教科書も最近はある。
世界史の教科書 http://goo.gl/QUrcvQ
世界史の教科書の一部(PDF) Culture of East Asia
http://avidworld.weebly.com/uploads/4/9/0/9/4909344/chapter_11.pdf
教科書はバイブルではない
大学の教育学や高校の教員セミナーで、教科書批判、教科書の分析はよく行われる。
教員の義務は州で決められた、州の指導要領を達成させるという事にある。
よって、何が教科書に載っていないか、何を補わなければいけないか。が日々研究されている。
2007年前に開始された全国共通のAP日本語のテストは2分間で与えられた文化の課題について、
生徒は特色と意見をコンピューターに録音しなければしなければならない。
テキストチャットも次々と画面に現れ90秒以内にタイプして返答しなければならない。
そのような時代の波にあわせた教育には
教科書出版は追いつけないので、先生方は手作り補助教材で教えなければならないのだ。
また、教科書には著者名が書いてあり、著者の紹介、教授の推薦、なども含まれている。
人それぞれ考え方はちがう。
だから、日本の様に教科書に書いてある意見や見解は著者の物で、100%が正しいとは教員も生徒も思っていない。
この著者の考え方、この紹介のし方は正しいか、賛成できるか
討論を日々している生徒は批判力もあるので問題ない。

生徒に助けられて生徒と一緒に作った教科書
去年からアメリカで出版されたAdventures in Japanese 4thEditionという日本語の教科書を使い始めたので、紹介しよう。
まず著者はHiromi Peterson Naomi Hirano-Omizoで、高校の先生によって書かれている。
プリンストン大学のSeiichi Makino教授は
次のように本を紹介している。
中高生のための教科書執筆は大学生の為の教科書執筆よりずっと難しい。
1.著者は中高生が、習得できる事 できない事をはっきり知っている。
2.著者は生徒の興味をひく内容をよく知っていて本には生徒の好きな楽しいアクティビティー イラストなどがあふれている。
と述べている。
3.その後に著者の専門知識と内容に関してのレベルの高さを賞賛してある。
私もそれらには感心する事が多い。
たとえば、「私は___が好きです。」と言う文型を教える課では
「エミさんは何色が好きですか。」
「そうですねえ。ピンクが大好きですが、白もすきです。」
「ぼくは青と緑が好きです。」
という会話。たったこれだけだが、生徒は夢中になった。
アメリカ人は小さい頃から、何色が好き?何色がきらい?という会話が多く
アメリカの子供はは色にすごく興味があるのだ。
それで、「私は赤が好きです。」とか「茶色がきらいです。」
などの意見が次々に出て、
赤 青 黄色 と 色名15ぐらいをすぐに覚えてしまったのだ。
私は以前大学で教えていて高校に変わった時、高校生が
どんな事に興味があり、
どんな教え方をしたら、
興味を持って学んでくれるか
全く見当がつかなかった。
確かにこの教科書には生徒が興味をひく内容 アクティビティーがたくさんある。
著者Hiromi Peterson Naomi Hirano-OmizoはAcknowledgmentsにて、
教科書製作において、協力してくださった方々へのお礼があるが、
まず、Punahou schoolの生徒が直接教科書製作に尽くしてくれた事に対するお礼ではじまっている。
「生徒達は学習の目標を達成させてくれ 自分達にやる気をおこさせてくれた。自分達に色々教えてくれた。
そして、アイデアをくれたり、提案をしてくれたり、元気づけてくれた。」
とある。
その後、数人の大学教授、イラストレーター、補助教材を作ってくれた先生方、オーディオなど、50人以上の協力してくれた方々へのお礼が書いてある。
この本は第4版であるが、ここに至るまで生徒に教える時に使ってみながら、
何度も何度も書き直しながら作った努力が表れている。
私は第3版も持っているが、第4版は見違えるように改善されている。
すばらしい!!
お陰で私の生徒は日本語を楽しく勉強するし、半年間 1年間でかなり書いたり話したりできるようになった。
日本ではどうして数人の検定官が「この教科書はいけない」とはねつける事ができるのか?
「日本では検定が終了するまでは、教科書を現場の教員に見せることも許さない。」
とあるが、現場の先生方が一番事情を知っているのに、そのような規定ができるのは全く理解できない。
私は日本の最近の教科書を見たわけではない。
だが、少なくても 現場の先生が意見を言ったり、改善してあげれば、より良くなるであろうのに。
実際に使ってみて悪い点改善点を先生方が改良にかかわれば、よりよい教科書ができるのに。
元ベテランの先生が、教科書をお作りになっているのかもしれないが、
それも日々ICTをはじめとして、教授法が変わるのに、
現場から離れた先生が以前の経験だけを基にして作るというのも効果的ではない。
やはり、良い教え方のアイデアの「ひらめき」は夏休みには無く生徒と実際に授業をしている間におこるものだ。
生徒からも毎日学ぶことが多い。
「当然、検定ではねられれば、その教科書は教科書としては出版できず、教科書会社はそこまでの努力を棒に振ることになるので、検定官およびその背後にある文部科学省に対して萎縮し、ご機嫌を伺うようになる。(平居高志)」
とあるが、教育委員会の検定官はどの様なバックグラウンドのあるお方なのか、どういう教員経験がおありなのか。
世界中探しても日本全体の教育をコントロールできるような人はいないのではないか?と思う。
人それぞれ支持する教授法は違うのは当然だと思う。
どうして、教科書の著者がビクビクしながら教科書を執筆しなければいけないのか?
失敗してもいいから、自分の支持する新しい教授法を取り入れて革新的な教科書を作ってみたらいいではないか。
もし一つの市がその教科書を使ってみてよい結果が得られれば、他の地区も使ってみればよいのでは?
アップル電子教科書の紹介
最後に日本の英語教育にもどるが、
(私の日本の教科書検定の解釈に誤りがあるというご指摘をコメントでいただきましたので後ほど、誤りがあれば、訂正する予定です。)
参考資料 引用
Adentures in Japanese
http://aij.cheng-tsui.com/
日本の英語教育と日本人の英語力が長年問題になっているが、
その一つの原因は日本の教科書選定のシステムにあると私は思う。
日本の教科書選定システムについて、平居高志氏は
”教科書政策の何が悪いかというと、大きく分けて二つある。一つは閉ざされた検定であり、もう一つは採択のシステムである。”
とあり、日本では
”検定が終了するまでは、教科書を現場の教員に見せることも許さない。”と述べている。
教科書を出版する夢
アメリカと日本の教科書検定システムの決定的な違いは、
誰でも教科書を出版する事が出来る。
という事だ。
アメリカの小中高の先生方 又大学の教授の中には
「いつかは自分で教科書を出版したい。」
と夢を持っている先生方は少なくない。
実際に数々の教科書が教授 先生方によって出版されている。
長年教えながら教材を準備しているので、手作りのプリント 教材は山積みになっている。
そのまとめとして自分で一番使いやすい教科書を出版したい。という気持ちが出るのは当然だ。
その上アメリカの教科書は一冊6千円から2万円時には3万円する。
自分の教科書が売れれば、収入にもなるのだ。
数年前に知り合いの大学の英語の教授に英語のライティングの教科書が必要だと言ったら、
教科書が100冊以上ある教授の部屋によばれ数冊わけてくれた。
教授は自分で買わなくても教科書のサンプルが送られてくるのだ。
教授がその教科書を教材に選ぶと100人、1000人以上の大学生が買うので出版社は大もうけをするわけである。
教科書はA4サイズで3-5センチの厚みがある物が多い。
持つのも重くて大変だ。
大学生の教科書代は一年に5万円10万円以上する事もある。

http://creationtruth.com/truth-in-science.html
アメリカの高校の教科書選定の手順
私の高校の教科書選定は次の手順で決められた。
- 学校で新しい教科書の購入が必要だと申請する。
- 学内の会議で認められる。
- 市内の教員と教育委員会の教科書選定課が候補になる教科書を5,6冊選ぶ。
- 教育委員会がサンプルの教科書を購入する。
- 市内の教科の先生が集まって検討する。
- 州の指導要領にあっているか、項目ごとに検討する。
- 選ばれた教科書出版社が説明会を開く。
- 最終的に教員間で選んだ教科書の内容と理由を教科書選定会議で発表する。
- 会議出席者から承認を受ける。
日本と違って、教科書は2,3年から6,7年同じ教科書が使われ、生徒は学校で一年間借りる形になる。
高校の教科書は一教科500ページ以上の物がほとんどだ。
ハードカバーでカラー、練習問題、討論トッピクなど盛りだくさんだ。
非常にすぐれた教科書が多い。
電子教科書も最近はある。

世界史の教科書 http://goo.gl/QUrcvQ
世界史の教科書の一部(PDF) Culture of East Asia
http://avidworld.weebly.com/uploads/4/9/0/9/4909344/chapter_11.pdf
教科書はバイブルではない
大学の教育学や高校の教員セミナーで、教科書批判、教科書の分析はよく行われる。
教員の義務は州で決められた、州の指導要領を達成させるという事にある。
よって、何が教科書に載っていないか、何を補わなければいけないか。が日々研究されている。
2007年前に開始された全国共通のAP日本語のテストは2分間で与えられた文化の課題について、
生徒は特色と意見をコンピューターに録音しなければしなければならない。
テキストチャットも次々と画面に現れ90秒以内にタイプして返答しなければならない。
そのような時代の波にあわせた教育には
教科書出版は追いつけないので、先生方は手作り補助教材で教えなければならないのだ。
また、教科書には著者名が書いてあり、著者の紹介、教授の推薦、なども含まれている。
人それぞれ考え方はちがう。
だから、日本の様に教科書に書いてある意見や見解は著者の物で、100%が正しいとは教員も生徒も思っていない。
この著者の考え方、この紹介のし方は正しいか、賛成できるか
討論を日々している生徒は批判力もあるので問題ない。

生徒に助けられて生徒と一緒に作った教科書
去年からアメリカで出版されたAdventures in Japanese 4thEditionという日本語の教科書を使い始めたので、紹介しよう。
まず著者はHiromi Peterson Naomi Hirano-Omizoで、高校の先生によって書かれている。
プリンストン大学のSeiichi Makino教授は
次のように本を紹介している。
中高生のための教科書執筆は大学生の為の教科書執筆よりずっと難しい。
1.著者は中高生が、習得できる事 できない事をはっきり知っている。
2.著者は生徒の興味をひく内容をよく知っていて本には生徒の好きな楽しいアクティビティー イラストなどがあふれている。
と述べている。
3.その後に著者の専門知識と内容に関してのレベルの高さを賞賛してある。
私もそれらには感心する事が多い。
たとえば、「私は___が好きです。」と言う文型を教える課では
「エミさんは何色が好きですか。」
「そうですねえ。ピンクが大好きですが、白もすきです。」
「ぼくは青と緑が好きです。」
という会話。たったこれだけだが、生徒は夢中になった。
アメリカ人は小さい頃から、何色が好き?何色がきらい?という会話が多く
アメリカの子供はは色にすごく興味があるのだ。
それで、「私は赤が好きです。」とか「茶色がきらいです。」
などの意見が次々に出て、
赤 青 黄色 と 色名15ぐらいをすぐに覚えてしまったのだ。
私は以前大学で教えていて高校に変わった時、高校生が
どんな事に興味があり、
どんな教え方をしたら、
興味を持って学んでくれるか
全く見当がつかなかった。

確かにこの教科書には生徒が興味をひく内容 アクティビティーがたくさんある。
著者Hiromi Peterson Naomi Hirano-OmizoはAcknowledgmentsにて、
教科書製作において、協力してくださった方々へのお礼があるが、
まず、Punahou schoolの生徒が直接教科書製作に尽くしてくれた事に対するお礼ではじまっている。
「生徒達は学習の目標を達成させてくれ 自分達にやる気をおこさせてくれた。自分達に色々教えてくれた。
そして、アイデアをくれたり、提案をしてくれたり、元気づけてくれた。」
とある。
その後、数人の大学教授、イラストレーター、補助教材を作ってくれた先生方、オーディオなど、50人以上の協力してくれた方々へのお礼が書いてある。
この本は第4版であるが、ここに至るまで生徒に教える時に使ってみながら、
何度も何度も書き直しながら作った努力が表れている。
私は第3版も持っているが、第4版は見違えるように改善されている。
すばらしい!!
お陰で私の生徒は日本語を楽しく勉強するし、半年間 1年間でかなり書いたり話したりできるようになった。
日本ではどうして数人の検定官が「この教科書はいけない」とはねつける事ができるのか?
「日本では検定が終了するまでは、教科書を現場の教員に見せることも許さない。」
とあるが、現場の先生方が一番事情を知っているのに、そのような規定ができるのは全く理解できない。
私は日本の最近の教科書を見たわけではない。
だが、少なくても 現場の先生が意見を言ったり、改善してあげれば、より良くなるであろうのに。
実際に使ってみて悪い点改善点を先生方が改良にかかわれば、よりよい教科書ができるのに。
元ベテランの先生が、教科書をお作りになっているのかもしれないが、
それも日々ICTをはじめとして、教授法が変わるのに、
現場から離れた先生が以前の経験だけを基にして作るというのも効果的ではない。
やはり、良い教え方のアイデアの「ひらめき」は夏休みには無く生徒と実際に授業をしている間におこるものだ。
生徒からも毎日学ぶことが多い。
「当然、検定ではねられれば、その教科書は教科書としては出版できず、教科書会社はそこまでの努力を棒に振ることになるので、検定官およびその背後にある文部科学省に対して萎縮し、ご機嫌を伺うようになる。(平居高志)」
とあるが、教育委員会の検定官はどの様なバックグラウンドのあるお方なのか、どういう教員経験がおありなのか。
世界中探しても日本全体の教育をコントロールできるような人はいないのではないか?と思う。
人それぞれ支持する教授法は違うのは当然だと思う。
どうして、教科書の著者がビクビクしながら教科書を執筆しなければいけないのか?
失敗してもいいから、自分の支持する新しい教授法を取り入れて革新的な教科書を作ってみたらいいではないか。
もし一つの市がその教科書を使ってみてよい結果が得られれば、他の地区も使ってみればよいのでは?
アップル電子教科書の紹介
最後に日本の英語教育にもどるが、
- 海外で第二言語教授法TESOLを勉強なさった方々
- 現場で教えていらっしゃる先生方や教授が
(私の日本の教科書検定の解釈に誤りがあるというご指摘をコメントでいただきましたので後ほど、誤りがあれば、訂正する予定です。)
参考資料 引用
教科書問題・・・批判の矛先を間違うな
http://d.hatena.ne.jp/takashukumuhak/20160109/1452331262Adentures in Japanese
http://aij.cheng-tsui.com/
- Topic:アクティブラーニング
- Genre:School
- カテゴリ:教科書
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