アメリカの高校を卒業するのは日本みたいに簡単じゃない
- 2018/07/15
- 07:54
6月20日から2ヶ月間の夏休みに入る。
今は期末試験の準備で一番忙しい時。
それに期末試験の最終日の翌日に成績を提出して、教室の鍵を学校に返さなければならない。
つまり夏休み中は自分の教室は自分の部屋ではなくなるので学校での居場所はなくなるわけだ。
夏休み中には用務員が中の家具を全部外に出して、床にワックスをかけてくれる。
そのためコンピューターや本などをすべて、戸棚の中に入れて鍵をかけなくちゃいけない。
結構な重労働だ。
夏休み中は教員は学校には行かない。
給料は年収が決まっているので、10回払いか12回払いかで
支払われる。
管理職 事務員は夏休みが短く7月8月中に新年度の事務的な準備がなされる。
ポップアップカード 生徒の作品 浦島太郎
後期の成績を提出する時悩むのは2,3人の生徒を落第させようかパスさせようかと言う事だ。
日本語1を取っている生徒はC以上じゃないと日本語2をとれない。
生徒はオンラインで自分の成績を日々チェックしているので、前もって生徒は成績の予測が出来る。
又学期の途中で中間報告(Progress Report)というのを落第しそうな子に発行しなければならない。
ちなみに成績は A90%以上 B89-80% C79%-70% D69%-65% F64以下である。
問題になるのは70%前後の生徒だ。
普通DやFの生徒は日本語2をとってもわけがわからなくてついていけない生徒だ。
C以上の成績がとれない理由は次のような理由が考えられる。
1,2,3の場合は生徒がかわいそうだ。
特に特別支援の生徒でまんがやアニメが好きで日本語を取る生徒がいる。
しかし、ついていけなくて日本語2をとるのは諦めざるを得ない子が多い。
4,5,6.7番に該当する生徒は落第してもしかたがないと思える。
でも生徒で勉強の基本的態度が身についていない子もいるので何とかしてあげたい。
結局外国語を勉強している生徒はクラスに1人ぐらいは落第する。
国語 数学 科学など必須課目を落ちた場合は、生徒はサマースクールというのに行かなければならない。
サマースクールは1ヶ月間毎朝一科目2時間あるそうだ。
夏に2科目までとれる。3科目以上落第した人は翌年もう一度とらなくちゃいけない。
必要単位を卒業までに取らなければ、高校は卒業できないのだ。
数学のクラスを落第してサマースクールに行った事のある生徒に話を聞いてみた。
「落第したら、すごくがっかりして恥ずかしい思いをします。
友達も家族にも情けないと思われます。
何よりも生徒がサマースクールなんて行きたがりませんよ。
夏休みは楽しみたいでしょう。
でももし日本みたいに落第してもサマースクールがなければ、もっと皆より遅れてしまうからそれも困りますよね。」
「僕はサマースクールに行ったけどサマースクールはなんともいえない雰囲気の所でした。
ほとんどの生徒は成績の事なんか気にしないけど、出席しなくちゃいけないから ただ座ってるだけです。
皆怠慢で、早く寝たい と思いながら出席してる感じです。」
サマースクールの先生は
「サマースクールは2日休むと落第になるので、35人ぐらいではじめても25人ぐらいしか単位を取れる人はいません。終わらなかったら、もう一年同じクラスを取らなくちゃいけないんですよ。雰囲気はそんなに悪くなくて、ゲームとかをしながら、なんとか次のレベルにいけるようにします。生徒もいい子ばかりですよ。」
と言う事は夏休みは普通の授業についていけない生徒のために有効に使われていると言う事ですね。
ちなみにできる生徒は夏休みに大学に行って大学の単位を取る子も沢山います。
又サマーキャンプに行ってスポーツを毎日する子もいます。
更にHigh School Diploma (高卒の学位)を取得するには
健康な生徒はCalifornia High School Exit Examination (CAHSEE)を受けて合格しなくちゃいけない。
この全国共通試験は毎年各学校で行われる。
アメリカは高校は義務教育である。
スペイン語はサマースクールがあるが、日本語は需要が少ないので、サマースクールはない。
よって日本語1を2回取る生徒もいる。
日本で考えると落第して下の学年といっしょにもう一度勉強させるなどとは考えられないだろう。
ただ日本とアメリカでは学校システムで大きな違いがある。
それは
アメリカは学級制がないと言う事だ。
それぞれの生徒が毎時間必修科目に加え選択科目を自分で選び取っていると言う事だ。
わかりやすく言うと大学みたいなもので、生徒が先生の教室に毎時間移動するのである。
大学との違いは教師が自分の教室に本や書類 机を置いて飾り付けをしていると言う事だ。
それで、友達のX君が数1をとっていようと数2をとっていようと、スケジュール次第なので
まったく関係ないのだ。
また、落第しなくても特に選択科目は何年生でとらなければならない。という規定が無いので、
クラスには色々な学年が入り混じっているのだ。
たとえばスペイン語の1と2は中学でもあるので、中学で取る生徒もいれば、一方、中学では
吹奏楽や美術をとりたいので、スペイン語1などの外国語を高校からとりはじめる生徒もたくさんいるのだ。
つまりスペイン語の1のクラスは14歳から18歳までの生徒が一緒にクラスをとっているのだ。
又勉強したくない生徒や勉強が苦手な生徒は簡単な楽しいクラスをとっても卒業できる。
たとえば、外国語は選択科目なので、わざわざ日本語をとらなくてもバンドのクラスをとってもいいのだ。
国語 科学などの必修科目も3つのレベル AP(大学)レベル オナー(名誉)レベル 普通レベルがある。
何を選択するかはカウンセラーと親とゆっくり話し合って決めるのだ。
そんな事から日本語1を二回とった生徒は
「日本語1を2回とってやっとわかるようになった。」と言って喜んでくれる生徒が多い。
特別支援、のみ込みの遅い子などクラスにはいろいろな子がいる
その子供たちのために指導案を作って指導するようにと管理職によく言われるが
同じ教室内で指導するのは本当に難しい。
ある日本の先生がアルファベットもわからないまま高校に来る生徒がいる。
とおっしゃっていた。落第制度のない日本の先生は大変だと思う。
生徒間にあまりにも実力の差がありすぎ
1.教員が教えるべきレベルの内容を教えられない。
2 アクテイブラーニングーたとえばグループ会話 討論などできない。
3.あまりにも遅れすぎている生徒がいるから少し遅れている子供を助けられない。
生徒にしてみてもわからないクラスにずっと座っているのはさぞかし苦痛だろう。
その子たちが学校に行きたくなくなる気持ちがわからなくもない。
私は必ずしもアメリカのシステムがいいとは思わないが、
登校拒否、大学単位認定の問題(前回ブログ)、いじめ、などの原因と解決案を
もう一度上記の点から見直してみてもいいんじゃないか。と思うのだ。
下記1つ選んでから投票結果をごらんください。メルアドなど書く必要はありません。
皆さんのコメントもご覧ください。
ご協力有難うございました。
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ポップアップカード 生徒の作品 竜宮城
プロジェクト 日本の民話
浦島太郎グループの発表(2年生)
1.Youtubeで浦島太郎を日本語でクラスで見せる
2.Youtubeの音を消して英語で物語を語る。
3.自分で作ったポップアップカードを見せながら物語を簡単な日本語で語る。
(ポップアップカードは今や日本の文化。これを作りながら
日本の着物や昔の光景を学ばせる)
今は期末試験の準備で一番忙しい時。
それに期末試験の最終日の翌日に成績を提出して、教室の鍵を学校に返さなければならない。
つまり夏休み中は自分の教室は自分の部屋ではなくなるので学校での居場所はなくなるわけだ。
夏休み中には用務員が中の家具を全部外に出して、床にワックスをかけてくれる。
そのためコンピューターや本などをすべて、戸棚の中に入れて鍵をかけなくちゃいけない。
結構な重労働だ。
夏休み中は教員は学校には行かない。
給料は年収が決まっているので、10回払いか12回払いかで
支払われる。
管理職 事務員は夏休みが短く7月8月中に新年度の事務的な準備がなされる。
ポップアップカード 生徒の作品 浦島太郎
後期の成績を提出する時悩むのは2,3人の生徒を落第させようかパスさせようかと言う事だ。
日本語1を取っている生徒はC以上じゃないと日本語2をとれない。
生徒はオンラインで自分の成績を日々チェックしているので、前もって生徒は成績の予測が出来る。
又学期の途中で中間報告(Progress Report)というのを落第しそうな子に発行しなければならない。
ちなみに成績は A90%以上 B89-80% C79%-70% D69%-65% F64以下である。
問題になるのは70%前後の生徒だ。
普通DやFの生徒は日本語2をとってもわけがわからなくてついていけない生徒だ。
C以上の成績がとれない理由は次のような理由が考えられる。
- 1年生で特にひらがなやカタカナを覚えられずに、出遅れる
- また短文がどうしてもかけない
- どうしても単語や文法が覚えられない
- 宿題をしない
- テストの勉強をしない
- 授業をサボる
- 先生の話を聞かない
1,2,3の場合は生徒がかわいそうだ。
特に特別支援の生徒でまんがやアニメが好きで日本語を取る生徒がいる。
しかし、ついていけなくて日本語2をとるのは諦めざるを得ない子が多い。
4,5,6.7番に該当する生徒は落第してもしかたがないと思える。
でも生徒で勉強の基本的態度が身についていない子もいるので何とかしてあげたい。
結局外国語を勉強している生徒はクラスに1人ぐらいは落第する。

国語 数学 科学など必須課目を落ちた場合は、生徒はサマースクールというのに行かなければならない。
サマースクールは1ヶ月間毎朝一科目2時間あるそうだ。
夏に2科目までとれる。3科目以上落第した人は翌年もう一度とらなくちゃいけない。
必要単位を卒業までに取らなければ、高校は卒業できないのだ。
数学のクラスを落第してサマースクールに行った事のある生徒に話を聞いてみた。
「落第したら、すごくがっかりして恥ずかしい思いをします。
友達も家族にも情けないと思われます。
何よりも生徒がサマースクールなんて行きたがりませんよ。
夏休みは楽しみたいでしょう。
でももし日本みたいに落第してもサマースクールがなければ、もっと皆より遅れてしまうからそれも困りますよね。」
「僕はサマースクールに行ったけどサマースクールはなんともいえない雰囲気の所でした。
ほとんどの生徒は成績の事なんか気にしないけど、出席しなくちゃいけないから ただ座ってるだけです。
皆怠慢で、早く寝たい と思いながら出席してる感じです。」
サマースクールの先生は
「サマースクールは2日休むと落第になるので、35人ぐらいではじめても25人ぐらいしか単位を取れる人はいません。終わらなかったら、もう一年同じクラスを取らなくちゃいけないんですよ。雰囲気はそんなに悪くなくて、ゲームとかをしながら、なんとか次のレベルにいけるようにします。生徒もいい子ばかりですよ。」
と言う事は夏休みは普通の授業についていけない生徒のために有効に使われていると言う事ですね。
ちなみにできる生徒は夏休みに大学に行って大学の単位を取る子も沢山います。
又サマーキャンプに行ってスポーツを毎日する子もいます。
更にHigh School Diploma (高卒の学位)を取得するには
健康な生徒はCalifornia High School Exit Examination (CAHSEE)を受けて合格しなくちゃいけない。
この全国共通試験は毎年各学校で行われる。
アメリカは高校は義務教育である。
スペイン語はサマースクールがあるが、日本語は需要が少ないので、サマースクールはない。
よって日本語1を2回取る生徒もいる。
日本で考えると落第して下の学年といっしょにもう一度勉強させるなどとは考えられないだろう。
ただ日本とアメリカでは学校システムで大きな違いがある。
それは
アメリカは学級制がないと言う事だ。
それぞれの生徒が毎時間必修科目に加え選択科目を自分で選び取っていると言う事だ。
わかりやすく言うと大学みたいなもので、生徒が先生の教室に毎時間移動するのである。
大学との違いは教師が自分の教室に本や書類 机を置いて飾り付けをしていると言う事だ。
それで、友達のX君が数1をとっていようと数2をとっていようと、スケジュール次第なので
まったく関係ないのだ。
また、落第しなくても特に選択科目は何年生でとらなければならない。という規定が無いので、
クラスには色々な学年が入り混じっているのだ。
たとえばスペイン語の1と2は中学でもあるので、中学で取る生徒もいれば、一方、中学では
吹奏楽や美術をとりたいので、スペイン語1などの外国語を高校からとりはじめる生徒もたくさんいるのだ。
つまりスペイン語の1のクラスは14歳から18歳までの生徒が一緒にクラスをとっているのだ。
又勉強したくない生徒や勉強が苦手な生徒は簡単な楽しいクラスをとっても卒業できる。
たとえば、外国語は選択科目なので、わざわざ日本語をとらなくてもバンドのクラスをとってもいいのだ。
国語 科学などの必修科目も3つのレベル AP(大学)レベル オナー(名誉)レベル 普通レベルがある。
何を選択するかはカウンセラーと親とゆっくり話し合って決めるのだ。
そんな事から日本語1を二回とった生徒は
「日本語1を2回とってやっとわかるようになった。」と言って喜んでくれる生徒が多い。

特別支援、のみ込みの遅い子などクラスにはいろいろな子がいる
その子供たちのために指導案を作って指導するようにと管理職によく言われるが
同じ教室内で指導するのは本当に難しい。
ある日本の先生がアルファベットもわからないまま高校に来る生徒がいる。
とおっしゃっていた。落第制度のない日本の先生は大変だと思う。
生徒間にあまりにも実力の差がありすぎ
1.教員が教えるべきレベルの内容を教えられない。
2 アクテイブラーニングーたとえばグループ会話 討論などできない。
3.あまりにも遅れすぎている生徒がいるから少し遅れている子供を助けられない。
生徒にしてみてもわからないクラスにずっと座っているのはさぞかし苦痛だろう。
その子たちが学校に行きたくなくなる気持ちがわからなくもない。
私は必ずしもアメリカのシステムがいいとは思わないが、
登校拒否、大学単位認定の問題(前回ブログ)、いじめ、などの原因と解決案を
もう一度上記の点から見直してみてもいいんじゃないか。と思うのだ。
下記1つ選んでから投票結果をごらんください。メルアドなど書く必要はありません。
皆さんのコメントもご覧ください。
ご協力有難うございました。
関連記事
アメリカと日本の単位に関する考え方の違いを書きました。 http://americanteacher.blog.fc2.com/blog-entry-80.html
ポップアップカード 生徒の作品 竜宮城
プロジェクト 日本の民話
浦島太郎グループの発表(2年生)
1.Youtubeで浦島太郎を日本語でクラスで見せる
2.Youtubeの音を消して英語で物語を語る。
3.自分で作ったポップアップカードを見せながら物語を簡単な日本語で語る。
(ポップアップカードは今や日本の文化。これを作りながら
日本の着物や昔の光景を学ばせる)
宿題もそうである。正直、小学校も高学年になれば、クラス内の学力差は絶望的になり、一律の宿題など無意味である。できる子どもには簡単すぎる苦行だし、低学年程度の学力しかない子どもには理解不能だからである。しかし、それをやってくること自体に意味がある。みんながやっているから。 学校は勉強するところではない 中沢 良平
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- Topic:子供の教育
- Genre:School
- カテゴリ:アメリカの大学
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