アメリカの討論の授業ってどんなの?アクティブラーニングの効果
- 2015/06/17
- 09:23
アメリカの高校では討論が多いと聞いているので、生徒にアメリカの高校のディベートの授業の様子をエッセイに書いてもらいました。昨日高校を卒業して秋にバークレイ大学へ入学予定のケイトさんとジングさんのエッセイを紹介しましょう。2人とも日本語のクラスを4年間とっていたので、日本文化の知識も少しあります。以下日本語に訳してみました。
日本人は恥ずかしくて自分の意見をはっきり言わないようですが、アメリカ人は自分の気持ちを隠さず考えをはっきり言います。アメリカの教育はコミュニケーションを通して自分の考えを分かち合う事に重点をおいています。ですからクラスでは討論や話し合いの機会がよくあり、皆思った事、意見、感じた事をためらうことなく自由に言います。討論の時間はとても楽しいです。
英語のクラスの討論会(英語とは生徒にとって母国語なので国語のことです。)
今英語のクラスではシェイクスピアのロミオとジュリエットを読んでいます。劇の各場面を読んだ後先生はクラスを2つか4つのグループに分けて劇がどうだったかについて話しあうように指示します。その後に主人公の性格を読み取り、どうしてこういう行為をしたのかという課題をあたえてグループで話し合います。
たとえば第3場面を読んだ後、先生は次の課題を提示なさいました。
「ロミオはいとこを殺してしまいましたね。それなのにどうしてジュリエットはロミオを愛し続けるのでしょうか。」
私達は一時間中夢中になって話し合いました。このようなグループ討論の間グループメンバーは全員自由に自分の考えや意見を言い合います。最後に先生は各グループの代表がそれぞれどういった違った見方をして、どういう意見がでたかを他のグループの人たちに発表させて終わらせます。この討論でそれぞれの友達の考え方を学ぶことが出来て勉強になりました。またシェークスピアの作品の知識を深める事も出来ました。
ある高校のロミオとジュリエットの劇 http://goo.gl/ovCgC3
(ケイトさんも簡単な劇を古典英語を使ってクラスでしたそうです)
歴史のクラスの討論会 (AP世界史のクラスの一例)注)
歴史のクラスでもデイスカッションがよくあります。歴史のクラスでは先生がよくクラスを2つに分けます。そして2つのグループに討論をさせるんです。たとえば「アメリカは第二次世界大戦に参加するべきだったか」についての討論を例に挙げましょう。先生が左のグループは賛成派。右のグループは反対派と指定します。ただ意見を言うのではだめです。教科書やウェブサイトで前以て習った事や書いてある過去の資料 記録から自分の意見を証明する物を見つけてそれに基づいて意見を言わなければなりません。
先生は審判になります。たとえばまず賛成派に意見を言わせると反対派は自分で見つけた証拠に基づき反論します。すると賛成派は更に証拠に基づき反論します。こうして討論が続きます。
この討論は楽しいです。それぞれ賛成派反対派の考え方を学ぶだけでなくコミュニケーションの仕方そして演説法(パブリックスピーキング)の技術も学びます。
話し合いや討論はアメリカのクラスでは普通の事です。討論は自分の考え 意見 気持ちを他の生徒に知ってもらえるだけじゃなくて、話し方コミュニケーションの仕方を練習できます。私は討論は楽しくて学ぶことが多いと思います。 ーケイト ジング
私のコメント
いやはや、私の生徒と言えどもこんな授業で討論しているなんて頭が上がりませんね。
以前にアメリカの教員にも家庭を大事にしていて早く家に帰られる先生、生徒をヨーロッパにまで連れて行って土日にも演奏会をさせていらっしゃる先生、部活の顧問をなさる先生、なさらない先生 色々な先生がいらっしゃるけど お互いにそれぞれの生き方を尊重している。と書きましたね。なるほど、授業でもそれぞれの違った考え方を尊重して自分なりの生き方を模索させている。素晴らしい事だと思います。
またパブリックスピーキングの技術の大切さについても話しています。職員会議に行くといつも驚く事。指定された時間内(2分、5分、10分でも)必要事項を全部要領よく言う。それもただ言うだけではなくハンドジェスチャーを使い アイコンタクをして、その上冗談もその中に含めて皆を笑わせる。-子供の時から訓練されていない私には到底無理な話です。羨ましいばかりですよ。
更に、アクテイブラーニング、生徒主体のディベート グループワーク グループディスカッションを取り入れています。ディベートの内容も生徒が興味を引く内容を先生が前もって用意していますね。 そして、最後に劇をさせる。ケイトさんたちがディベートが面白いといっているのも印象に残りました。ディベートが出来るようになるまで生徒に資料収集させ内容を深く理解させて生徒をひきつけてゆく先生の実力にも敬服しました。
ケイトさん ジングさん有難うございました。
バックグラウンド
AP日本語テストが終わり卒業をまじかにひかえた生徒にアメリカの授業を日本に紹介する文を簡単な英語で書いてもらった。1つの課題を2人一組で書いた。Google Docを使って2台のコンピューターで同期させ二人で一緒にエッセイを書いている子が多かった。エッセイは私のMoodleサイトにアップロードさせ私がコメントと質問を送り数回やりとりした。今までなるべく日本語だけで授業をしようとしていたが、英語で書かせると生徒のレベルの高さに今更のように驚いた。文の構成もしっかりしていた。次回からも少しずつ他の生徒のエッセイを紹介していきたい。また後ほど歴史の討論トッピック 歴史の試験問題を紹介したいと思います。以下参考までに原文を。
参考資料
http://www.taishukan.co.jp/kokugo/webkoku/relay001_01.html
原文
Where as the Japanese tend to be shy and soft spoken, the Americans are very open and carefree. American education focuses on the importance of sharing ideas through communication. Therefore, American classes often have in-class discussions. During these discussions, everyone openly states his/her ideas, opinions, and feelings. These discussions are very fun and enjoyable.
For example, in my English class, we are currently reading Shakespeare's play Romeo and Juliet. After we have read an act, my teacher would separate the class into the group of two or four people and ask us to discuss about the act. We would then analyze the characters and try to explain why their actions. For example, after reading Act 3 Scene 2, my group spent the entire class arguing over why Juliet still love Romeo even after Romeo has killed her cousin. In these group discussions, everyone has a chance to freely speak and express their own ideas and opinions about the book. At the end of each discussion, my teacher would conclude the class discussion by having each group present their different points of views. It’s very enriching to learn everyone’s perspectives, and it broadens our knowledge of the book.
I also have lots of discussions in my history class. In my history class, my teacher often split the class into two sides, and the two sides have to debate with each other. Each side is first assigned a position. In one of the debates we’ve done in the past, one side of the class had to argue against the topic, for example, whether American had enough reasons to join the war or not, while the other side had to support it. We had to find evidence from primary sources in our textbook or the Internet to support our positions. My teacher acted as the judge in the debates. He chose one side to state its argument, then the other side would have to refute the argument with their own evidence. The original side would refute the other side’s argument with their own evidence, and the debate continues on. These debates are very fun. We not only learn the different perspectives behind a position, but we also get to practice our communications and public speaking skills.
Discussions or debates are common in American classes. Discussions not only allow students to share their own ideas, opinions, and feelings, but they also allow them to practice speaking and communicating. I think these discussions are very fun and educational.
注)APとは全国統一アドバンストプレイスメント(AP)テストを受けて高校生が大学の単位をとるための大学レベルのクラスです。http://americanteacher.blog.fc2.com/blog-entry-44.html
日本人は恥ずかしくて自分の意見をはっきり言わないようですが、アメリカ人は自分の気持ちを隠さず考えをはっきり言います。アメリカの教育はコミュニケーションを通して自分の考えを分かち合う事に重点をおいています。ですからクラスでは討論や話し合いの機会がよくあり、皆思った事、意見、感じた事をためらうことなく自由に言います。討論の時間はとても楽しいです。
英語のクラスの討論会(英語とは生徒にとって母国語なので国語のことです。)
今英語のクラスではシェイクスピアのロミオとジュリエットを読んでいます。劇の各場面を読んだ後先生はクラスを2つか4つのグループに分けて劇がどうだったかについて話しあうように指示します。その後に主人公の性格を読み取り、どうしてこういう行為をしたのかという課題をあたえてグループで話し合います。
たとえば第3場面を読んだ後、先生は次の課題を提示なさいました。
「ロミオはいとこを殺してしまいましたね。それなのにどうしてジュリエットはロミオを愛し続けるのでしょうか。」
私達は一時間中夢中になって話し合いました。このようなグループ討論の間グループメンバーは全員自由に自分の考えや意見を言い合います。最後に先生は各グループの代表がそれぞれどういった違った見方をして、どういう意見がでたかを他のグループの人たちに発表させて終わらせます。この討論でそれぞれの友達の考え方を学ぶことが出来て勉強になりました。またシェークスピアの作品の知識を深める事も出来ました。

ある高校のロミオとジュリエットの劇 http://goo.gl/ovCgC3
(ケイトさんも簡単な劇を古典英語を使ってクラスでしたそうです)
歴史のクラスの討論会 (AP世界史のクラスの一例)注)
歴史のクラスでもデイスカッションがよくあります。歴史のクラスでは先生がよくクラスを2つに分けます。そして2つのグループに討論をさせるんです。たとえば「アメリカは第二次世界大戦に参加するべきだったか」についての討論を例に挙げましょう。先生が左のグループは賛成派。右のグループは反対派と指定します。ただ意見を言うのではだめです。教科書やウェブサイトで前以て習った事や書いてある過去の資料 記録から自分の意見を証明する物を見つけてそれに基づいて意見を言わなければなりません。
先生は審判になります。たとえばまず賛成派に意見を言わせると反対派は自分で見つけた証拠に基づき反論します。すると賛成派は更に証拠に基づき反論します。こうして討論が続きます。
この討論は楽しいです。それぞれ賛成派反対派の考え方を学ぶだけでなくコミュニケーションの仕方そして演説法(パブリックスピーキング)の技術も学びます。
話し合いや討論はアメリカのクラスでは普通の事です。討論は自分の考え 意見 気持ちを他の生徒に知ってもらえるだけじゃなくて、話し方コミュニケーションの仕方を練習できます。私は討論は楽しくて学ぶことが多いと思います。 ーケイト ジング
私のコメント
いやはや、私の生徒と言えどもこんな授業で討論しているなんて頭が上がりませんね。
以前にアメリカの教員にも家庭を大事にしていて早く家に帰られる先生、生徒をヨーロッパにまで連れて行って土日にも演奏会をさせていらっしゃる先生、部活の顧問をなさる先生、なさらない先生 色々な先生がいらっしゃるけど お互いにそれぞれの生き方を尊重している。と書きましたね。なるほど、授業でもそれぞれの違った考え方を尊重して自分なりの生き方を模索させている。素晴らしい事だと思います。
またパブリックスピーキングの技術の大切さについても話しています。職員会議に行くといつも驚く事。指定された時間内(2分、5分、10分でも)必要事項を全部要領よく言う。それもただ言うだけではなくハンドジェスチャーを使い アイコンタクをして、その上冗談もその中に含めて皆を笑わせる。-子供の時から訓練されていない私には到底無理な話です。羨ましいばかりですよ。
更に、アクテイブラーニング、生徒主体のディベート グループワーク グループディスカッションを取り入れています。ディベートの内容も生徒が興味を引く内容を先生が前もって用意していますね。 そして、最後に劇をさせる。ケイトさんたちがディベートが面白いといっているのも印象に残りました。ディベートが出来るようになるまで生徒に資料収集させ内容を深く理解させて生徒をひきつけてゆく先生の実力にも敬服しました。
ケイトさん ジングさん有難うございました。
バックグラウンド
AP日本語テストが終わり卒業をまじかにひかえた生徒にアメリカの授業を日本に紹介する文を簡単な英語で書いてもらった。1つの課題を2人一組で書いた。Google Docを使って2台のコンピューターで同期させ二人で一緒にエッセイを書いている子が多かった。エッセイは私のMoodleサイトにアップロードさせ私がコメントと質問を送り数回やりとりした。今までなるべく日本語だけで授業をしようとしていたが、英語で書かせると生徒のレベルの高さに今更のように驚いた。文の構成もしっかりしていた。次回からも少しずつ他の生徒のエッセイを紹介していきたい。また後ほど歴史の討論トッピック 歴史の試験問題を紹介したいと思います。以下参考までに原文を。
参考資料
世界の「国語」教育事情 第1回 アメリカ つくば国際大学 入部明子
http://www.taishukan.co.jp/kokugo/webkoku/relay001_01.html原文
Where as the Japanese tend to be shy and soft spoken, the Americans are very open and carefree. American education focuses on the importance of sharing ideas through communication. Therefore, American classes often have in-class discussions. During these discussions, everyone openly states his/her ideas, opinions, and feelings. These discussions are very fun and enjoyable.
For example, in my English class, we are currently reading Shakespeare's play Romeo and Juliet. After we have read an act, my teacher would separate the class into the group of two or four people and ask us to discuss about the act. We would then analyze the characters and try to explain why their actions. For example, after reading Act 3 Scene 2, my group spent the entire class arguing over why Juliet still love Romeo even after Romeo has killed her cousin. In these group discussions, everyone has a chance to freely speak and express their own ideas and opinions about the book. At the end of each discussion, my teacher would conclude the class discussion by having each group present their different points of views. It’s very enriching to learn everyone’s perspectives, and it broadens our knowledge of the book.
I also have lots of discussions in my history class. In my history class, my teacher often split the class into two sides, and the two sides have to debate with each other. Each side is first assigned a position. In one of the debates we’ve done in the past, one side of the class had to argue against the topic, for example, whether American had enough reasons to join the war or not, while the other side had to support it. We had to find evidence from primary sources in our textbook or the Internet to support our positions. My teacher acted as the judge in the debates. He chose one side to state its argument, then the other side would have to refute the argument with their own evidence. The original side would refute the other side’s argument with their own evidence, and the debate continues on. These debates are very fun. We not only learn the different perspectives behind a position, but we also get to practice our communications and public speaking skills.
Discussions or debates are common in American classes. Discussions not only allow students to share their own ideas, opinions, and feelings, but they also allow them to practice speaking and communicating. I think these discussions are very fun and educational.
注)APとは全国統一アドバンストプレイスメント(AP)テストを受けて高校生が大学の単位をとるための大学レベルのクラスです。http://americanteacher.blog.fc2.com/blog-entry-44.html
追記 9・20・2014
クローズアップ現代で見た日本の実態
私たちは“内向き”ですか? ~若者たちは今~ 2015年9月9日(水)放送
議論に加わっていた1人、青森から参加した長谷川歩果さんです。
学校では部活動の部長を務めながらも、極力目立たないようにしているという長谷川さん。
長谷川歩果さん(18)
「目立つと本当にダメなんですよ。
目立てばSNSとかツイッターで悪口を言われるのが今の学校の感じ。
ディスカッションする場があれば、みんなで考えるきっかけになるのかな。」
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3703_4.html
クローズアップ現代で見た日本の実態
私たちは“内向き”ですか? ~若者たちは今~ 2015年9月9日(水)放送
議論に加わっていた1人、青森から参加した長谷川歩果さんです。
学校では部活動の部長を務めながらも、極力目立たないようにしているという長谷川さん。
長谷川歩果さん(18)
「目立つと本当にダメなんですよ。
目立てばSNSとかツイッターで悪口を言われるのが今の学校の感じ。
ディスカッションする場があれば、みんなで考えるきっかけになるのかな。」
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3703_4.html
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- Topic:高校生
- Genre:School
- カテゴリ:アクティブラーニング
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